東京演劇集団風「Touch 〜孤独から愛へ」

  東京演劇集団風によって上演された「Touch 〜孤独から愛へ」(原題 Orphans 孤児たち)を見る。舞台は北フィラデルフィアの荒れ果てた住宅の一室。両親を失った孤児の兄弟、トリートとフィリップが暮らしている。兄のトリートは盗みや恐喝で生計を立てており、自分が留守の間、弟が一歩でも外へ出ないようにしている。また外の世界に関する情報を一切与えないようにしている。だが、ひそかにフィリップは文字を学び、新聞や本が読めるようになっていた。
  ある日、トリートは酒場で出会ったハロルドという謎めいた紳士を誘拐してくる。ハロルドは、トリート達を「デッドエンドキッド」(行き場のない子供)と呼び、自分も孤児院育ちだったと告げる。そして彼は、二人に金銭だけでなく、自分の持っているものは全てやろうと申し出る。彼が弟のフィリップに与えたのは、触れ合いによる励ましだった。だが、頑ななトリートは、ハロルドにも心を開こうとしない。
  そして彼の仕事が明らかになる。大金を持ち、腕っぷしの強い彼は、シカゴから来たギャングだったのだ。こうして三人の共同生活が始まるが、トリートは、一向に自分の感情を抑えることができず、ハロルドと衝突するのだった……。
  舞台を見るのは久しぶりだった。生身の人間が動き、声を張り上げるということが、いかに人の心を引きつけるか、単純なことだが改めて感じた。“触れる”“支える”“抱きしめる”という行為が、この物語では重要になってくるのだが、特に最後の、登場人物の成長を示す結末では涙してしまった。

  ※東京演劇集団風のHP 東京演劇集団風 – Touch
  ※原作者ライル・ケスラーについて(WikiLyle Kessler - Wikipedia