中島敦「巡査の居る風景」：意識されない支配の中で

文学ポストコロニアリズム研究中島敦

辺見庸がブログで中島敦に触れていた。既に該当記事は消去されているようだが、中島が一高生時代に書いた習作「巡査の居る風景 ―一九二三年の一つのスケツチ―」についてだ。 ◎「巡査の居る風景」のことなど「巡査の居る風景」よむ。またおどろく。たじろぐ…

2018-07-14

山崎雅弘『[増補版]戦前回帰　「大日本病」の再発』

研究歴史戦争

〔増補版〕戦前回帰「大日本病」の再発（文庫） [ 山崎雅弘 ]価格: 946 円楽天で詳細を見る第二次大戦下の日本について批判的に検証した本は枚挙にいとまがない。だが本書の特徴は、当時刊行された文献をできるだけ多く引用し、そこにどのようなロジック…

2018-02-15

ハンナ・アレント『人間の条件』

研究文学感想

難解を以て鳴るハンナ・アレントの主著。現在ではドイツ語版に基づく『活動的生』も翻訳されており、先に出された英語版に著者自身が手を加えただけあって、かなり表現が分かりやすくなっているらしいが、今回は従来のちくま学芸文庫版による。活動的生作者:…

2016-12-18

中島敦と軍歌

研究文学中島敦戦争

辺見庸『完全版１★９★３★７』上を読んでいると、最初の方に「海ゆかば」の話が出てくる。筆者はその旋律に「なんかただごとではない空気の重いうねりと震え」を感じ、「ニッポンジンのからだに無意識に生理的に通底する、不安で怖ろしい、異議申し立てのす…

2015-01-01

酒井直樹・西谷修『増補〈世界史〉の解体』

感想研究

人文学（ヒューマニティーズ）と人類学（アントロポロジー）の違い西谷「フマニタス」というのは「人間性」とも訳されますが、いわゆる「人間」を指す言葉なわけで、それに対して「アントロポロス」と呼ばれるのはその「フマニタス」によって発見された存…

2013-12-10

坂口䙥子のこと

研究文学熊本ライフ

坂口䙥子（さかぐちれいこ 1914〜2007）に関する研究発表を終えた。八代に生まれ、台湾に渡って結婚し、作家として楊逵や張文環から評価された。敗戦前後を台湾先住民の居住地である〈蕃地〉で過ごし、戦後、熊本に帰郷してからそれらを舞台にした小説を次々…

2013-04-22

熊日本社へ行く

研究熊本ライフ

県立図書館で昭和30年頃の熊本日日新聞をマイクロフィルムで見ていたら、原紙が破れていたり夕刊が欠けているところがあったので、レファレンス係に尋ねると、熊日が独自にデータベース化しているので、もしかしたらそちらでちゃんとした紙面を見ることがで…

2013-02-10

今日も県立図書館へ

研究熊本ライフ書店・古書店

昨日に引き続き、今日も県立図書館へ行く。べ、べつにリサイクル本がめあてなんかじゃないんだからね!! ……とかいいつつも、長谷川四郎『長谷川四郎の自由時間』（土曜美術社）・松本鶴雄『井伏鱒二論』（冬樹社）・又吉栄喜『陸蟹たちの行進』（新潮社）・古…

2013-02-09

県立図書館で『日本談義』を見る

研究書店・古書店熊本ライフ

県立図書館へ本の返却と資料調査に行った。このブログで何度か触れた『日本談義』の現物を閲覧するためである。文化総合雑誌『日本談義』は、地方文化振興を目的として1938年5月創刊された。編集発行人は荒木精之である。1945年6月まで刊行され、敗戦を挟ん…

2013-01-09

漱石の新資料「韓満所感」

研究文学ポストコロニアリズム

夏目漱石がハルピンで暗殺された伊藤博文について触れた文章を、『満洲日日新聞』1909（明治42）年11月５、６日に発表していたことが分かった。「満韓ところどころ」に描かれた満洲・韓国旅行は同年９〜10月であり、伊藤暗殺は10月26日。漱石の文章には「東…

2012-12-25

資料展「検閲の基準　―発禁になった本、ならなかった本―」（千代田区立図書館）

研究文学

千代田区立図書館で興味深い展示を行っている。戦前の出版検閲を語る資料展「検閲の基準 ―発禁になった本、ならなかった本―」 http://www.library.chiyoda.tokyo.jp/guidance/display_naimushoitaku2012.html 戦前の日本では、内務省があらゆる出版物の検閲…