2024-01-01から1年間の記事一覧

豊下楢彦『昭和天皇・マッカーサー会見』

昭和天皇・マッカーサー会見 (岩波現代文庫 学術 193) 作者:豊下 楢彦 岩波書店 Amazon 読了日2023/09/03。昭和天皇とマッカーサーの会談をめぐっては、『マッカーサー回想記』(1964)に記された有名な“美談”がある(以下は豊下著による)。つまり、天皇は…

赤坂真理『東京プリズン』

東京プリズン (河出文庫 あ 9-4) 作者:赤坂 真理 河出書房新社 Amazon 読了日2014/08/16。 この小説の主題の一つは「通訳」(翻訳)である。「天皇の戦争責任」についてディベートをするよう求められた主人公は、英文資料を通じて近代史を探る中で「歴史用語…

京谷秀夫『一九六一年冬「風流夢譚」事件』

一九六一年冬風流夢譚事件 (平凡社ライブラリー き 3-1) 作者:京谷 秀夫 平凡社 Amazon 読了日2019/08/13。 周知のように、「風流夢譚」事件は、深沢七郎の小説「風流夢譚」(『中央公論』1960・11)に激怒した右翼団体の少年が、中央公論社社長・嶋中鵬二宅…

ジョージ・オーウェル『一九八四年』

一九八四年 (ハヤカワepi文庫) 作者:ジョージ・オーウェル,高橋 和久 早川書房 Amazon 読了日2015/08/15。 主人公を通して、間断なく張り巡らされた二重思考の網目をすり抜けて浮かび上がる記憶の喚起力を描く。「頭蓋骨の内側に残されているほんの数立方セ…

ジョージ・オーウェル『動物農場』

動物農場 (角川文庫) 作者:ジョージ・オーウェル,高畠 文夫 KADOKAWA Amazon 読了日2013/07/30。 「動物主義」を掲げて農場主を追放した動物たちの革命が、どのようにして豚たちのような独裁者の登場を許していったかが、一般動物(=民衆)の目線で描かれる…

朧谷寿『NHKさかのぼり日本史(9)平安 藤原氏はなぜ権力を持ち続けたのか』

NHKさかのぼり日本史(9) 平安 藤原氏はなぜ権力を持ち続けたのか 作者:朧谷 寿 NHK出版 Amazon 読了日2013/02/13。 本年は大河ドラマ『光る君へ』効果で、平安時代関連の書籍が多く出るのではないか。本書はかなり以前のものだが、つかみ所のない平安政治史…

小泉八雲『日本の面影 ラフカディオ・ハーンの世界』

日本の面影: ラフカディオ・ハーンの世界 (岩波現代文庫 文芸 58) 作者:山田 太一 岩波書店 Amazon 読了日2013/03/09。 ニューオリンズ、松江、熊本、東京と移り住みながら、日本から次第に失われていくものに目を向け、ペンの力で形に表そうとしたハーン。…

東郷隆『名探偵クマグスの冒険』

名探偵クマグスの冒険 (静山社文庫) 作者:東郷 隆 静山社 Amazon 読了日2013/03/20。 知の巨人・熊楠は突出したキャラクター性もありミステリにはうってつけの人物だ。他には古山寛原作・ほんまりうの漫画『漱石事件簿』が同じ英国留学時代を扱っていた。本…