2014-01-01から1年間の記事一覧
季題は「柚子」。 妻病みて柚子は梢に暮れ残る 落葉寄せ小径はどこへ行ったやら 掘り立の藷を洗えばあかね色 郁子の実の種噛み当てた顔しかめ顔 「バカヤロー」念仏のごと舌凍ゆ
季題は「蟋蟀」。 蟋蟀や地球の影を仰ぎ見る(月蝕に) 曾祖母のここより嫁ぐ蔦紅葉 病棟の窓より高し秋茜 水澄んで豆腐の角も際立てり 佳き人を訪ねし後の金木犀
季題は「稲妻」。 いなつるび炉心に炎赤々と 蓑虫や昨日と同じ軒にをり 黒ぶどうむく指先の甘さかな 敬老の日にぢぢばばはスマホ買う 団栗が散歩のたびに増えている
季題は「鰯雲」。 阿蘇谷の真ん中に立つ鰯雲 完全犯罪企むうちに休暇果つ まるまると肥えゆく猫と猫じゃらし 新豆腐あいつも結婚するってさ 秋燕祖父は比島にて死せり
苅部直・細谷雄一の対談「八月十五日に日本の安全保障を考える」(『週刊読書人』2014・8・15)を読んで違和を感じた。苅部氏は丸山真男の憲法九条理解について、表題で挙げた講演に触れて、次のように述べている。 そこでの第九条と前文に関する理解は、軍…
季題は「七月(文月)」。 文月や川面に流る朱に黄色 窓枠に倚りて手を振る林檎の香 子燕はパサージュ触れる高さまで 梅雨明くるわが子の補助輪取ってより 鬼灯に封じたものを覗く母
季題は「トマト」。都合により三句のみ投句。 傷口もめいっぱいなりプチトマト 夏帽子似合わぬ年齢(とし)になりにけり 花みかん祖母の地下足袋干す横に
季題は「五月」。 みどり児の力余って五月かな 巨大迷路あきらめかけて夏の空 夕立ちに猫も目刺しも爺婆も 夜祭りに風鈴売りもいるらしき うつろなる繭の音のもつなげきかな
昨年に引き続き、今年も熊本ブックフェスティバル「本熊本bon kuma hon」2014が開催。 セキュリティチェックが必要です 会期は5/16〜5/25で、本にまつわる様々な興味深いイベントが各所で行われる。今年のトークショーのゲストは歌人の穂村弘氏。最近たまた…
季題は「風光る」 制帽のリボン駆けりて風光る 遠足の帰りのバスのしじまかな 日溜まりは桜餅ほどの重さ 新しき一人住居に春の塵 食堂のにぎわいもよし復活祭
季題は「猫の恋」 仮定法時限爆弾恋の猫 ぶらんこが漕ぎ戻るまでの永さかな 春雨に言問いたげな象の鼻 春寒し包んだ耳のしじまかな 亀が啼き地軸もぐわらり傾きぬ
季題は「七草」。 息災の値引きを待ちて七日粥 凶事の名残点々と実朝忌 初刷りが黄変してる祖父の居間 どこまでも廊下の続く白泉忌 破魔弓をもろてに女の子また重し
まだ読後感をまとめる余裕はないが、とりあえずメモ。山室信一「『満州国化』する日本」(『朝日新聞』2014・1・10)より。 岸と安倍さんは発想がよく似ています。2人とも多元的な勢力の存在が嫌いのようですね。権力が一元化されていないと、物事がうまく…