2014-01-01から1年間の記事一覧

句会第二十三回

季題は「柚子」。 妻病みて柚子は梢に暮れ残る 落葉寄せ小径はどこへ行ったやら 掘り立の藷を洗えばあかね色 郁子の実の種噛み当てた顔しかめ顔 「バカヤロー」念仏のごと舌凍ゆ

句会第二十二回

季題は「蟋蟀」。 蟋蟀や地球の影を仰ぎ見る(月蝕に) 曾祖母のここより嫁ぐ蔦紅葉 病棟の窓より高し秋茜 水澄んで豆腐の角も際立てり 佳き人を訪ねし後の金木犀

句会第二十一回

季題は「稲妻」。 いなつるび炉心に炎赤々と 蓑虫や昨日と同じ軒にをり 黒ぶどうむく指先の甘さかな 敬老の日にぢぢばばはスマホ買う 団栗が散歩のたびに増えている

句会第二十回

季題は「鰯雲」。 阿蘇谷の真ん中に立つ鰯雲 完全犯罪企むうちに休暇果つ まるまると肥えゆく猫と猫じゃらし 新豆腐あいつも結婚するってさ 秋燕祖父は比島にて死せり

丸山真男「憲法九条をめぐる若干の考察」

苅部直・細谷雄一の対談「八月十五日に日本の安全保障を考える」(『週刊読書人』2014・8・15)を読んで違和を感じた。苅部氏は丸山真男の憲法九条理解について、表題で挙げた講演に触れて、次のように述べている。 そこでの第九条と前文に関する理解は、軍…

句会第十九回

季題は「七月(文月)」。 文月や川面に流る朱に黄色 窓枠に倚りて手を振る林檎の香 子燕はパサージュ触れる高さまで 梅雨明くるわが子の補助輪取ってより 鬼灯に封じたものを覗く母

句会第十八回

季題は「トマト」。都合により三句のみ投句。 傷口もめいっぱいなりプチトマト 夏帽子似合わぬ年齢(とし)になりにけり 花みかん祖母の地下足袋干す横に

句会第十七回

季題は「五月」。 みどり児の力余って五月かな 巨大迷路あきらめかけて夏の空 夕立ちに猫も目刺しも爺婆も 夜祭りに風鈴売りもいるらしき うつろなる繭の音のもつなげきかな

ブックフェスティバルの季節がやってきた!

昨年に引き続き、今年も熊本ブックフェスティバル「本熊本bon kuma hon」2014が開催。 セキュリティチェックが必要です 会期は5/16〜5/25で、本にまつわる様々な興味深いイベントが各所で行われる。今年のトークショーのゲストは歌人の穂村弘氏。最近たまた…

句会第十六回

季題は「風光る」 制帽のリボン駆けりて風光る 遠足の帰りのバスのしじまかな 日溜まりは桜餅ほどの重さ 新しき一人住居に春の塵 食堂のにぎわいもよし復活祭

句会第十五回

季題は「猫の恋」 仮定法時限爆弾恋の猫 ぶらんこが漕ぎ戻るまでの永さかな 春雨に言問いたげな象の鼻 春寒し包んだ耳のしじまかな 亀が啼き地軸もぐわらり傾きぬ

句会第十四回

季題は「七草」。 息災の値引きを待ちて七日粥 凶事の名残点々と実朝忌 初刷りが黄変してる祖父の居間 どこまでも廊下の続く白泉忌 破魔弓をもろてに女の子また重し

山室信一「『満州国化』する日本」

まだ読後感をまとめる余裕はないが、とりあえずメモ。山室信一「『満州国化』する日本」(『朝日新聞』2014・1・10)より。 岸と安倍さんは発想がよく似ています。2人とも多元的な勢力の存在が嫌いのようですね。権力が一元化されていないと、物事がうまく…