2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『太宰治全集4』

この巻では、しみじみとした佳品が目立つ。特に清らかな感じのヒロインが多い。太宰治全集〈4〉 (ちくま文庫)作者: 太宰治出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1988/12/01メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る「きりぎりす」(『新…

第17回「草枕」国際俳句大会

【日時】11月17日(土) 午後1時〜午後4時30分 【会場】熊本市総合体育館・青年会館 (入場無料) 【内容】当日投句、講演会、俳句の部・俳画の部の表彰、講評・質疑など 講演「短詩型の魅力 −人生と表現−」伊藤一彦(歌人、若山牧水記念文学館館長) 大…

講演と鼎談「ハーン五高時代の『講義ノート』の新発見」

ラフカディオ・ハーンの五高での講義ノートが発見され、それに関連する催しがある。鶴屋南側の小泉八雲旧邸は、熊本に来た最初の頃に行ったなあ。 【日時】2012年11月17日(土) 13:00〜16:30 【会場】桜の馬場城彩苑多目的交流室(ホール) 【内容】 ・講演「ハ…

東京演劇集団風「Touch 〜孤独から愛へ」

東京演劇集団風によって上演された「Touch 〜孤独から愛へ」(原題 Orphans 孤児たち)を見る。舞台は北フィラデルフィアの荒れ果てた住宅の一室。両親を失った孤児の兄弟、トリートとフィリップが暮らしている。兄のトリートは盗みや恐喝で生計を立てており…

安部公房の未発表短編原稿見つかる

タイトルは「天使」。満洲からの引き揚げ船内で執筆されたらしい。「精神を病んだ主人公が天使となって病室を抜け出し、妄想の中で天使の国をさまようという内容」で、閉塞感が『けものたちは故郷をめざす』に通じる。今月7日発売の『新潮』12月号に掲載さ…

サイード「故国喪失についての省察」

このエッセイは、次のように書き出される。 故国喪失は、それについて考えると奇妙な魅力にとらわれるが、経験するとなると最悪である。人間とその人間が生まれ育った場所とのあいだに、自己とその真の故郷とのあいだに、むりやり設けられた癒しがたい亀裂。…

九州をめぐる100冊

西日本新聞で2006〜2008年に「千年書房・九州の100冊」という興味深い企画を行っていたらしい。 http://www.nishinippon.co.jp/nnp/book/kyushu100/2008/06/post_111.shtml 熊本ゆかりの著作で挙がっていたのは、以下の10冊。 ・安永蕗子「青湖」 ・徳富蘇峰…

サイード『故国喪失についての省察1』11〜14章

以下を読了。とりあえず覚書。 ・第11章「批評の未来」1984 批評行為そのものについての論評。「移動する理論」とも関係深い。 ・第12章「故国喪失についての省察」1984 冒頭にあるように、20世紀は他に類例を見ない「大移住時代」であり、それは文学も含ん…

サイード『故国喪失についての省察1』7〜10章

以下を読了。第10章以外は書評の形で、いずれも対象への辛辣なコメントがなされている。これまでの章と異なり、アメリカを中心とした西洋マスメディアへの批判というアクチュアルな問題意識が表明されている。 ・第7章「どん底への観光旅行――ジョージ・オー…