ジョージ・オーウェル『動物農場』
読了日2013/07/30。
「動物主義」を掲げて農場主を追放した動物たちの革命が、どのようにして豚たちのような独裁者の登場を許していったかが、一般動物(=民衆)の目線で描かれる。自己の特権の正当化、全体の討議の廃止、仮想敵であるジョーンズやスノーボールの脅威の強調、歴史の捏造、自発的な労働の強制、そして原則の都合のいい書き換え。解説にもあるように「権力」の手口をシンプルな寓話の形で見せつけてくれた傑作であり、今の日本の状況さえ読み込める。そして記憶と記録こそが、全体主義に抗する手段であることも示唆している。