怪談

黒史郎『ムー民俗奇譚 妖怪補遺々々』

ムー民俗奇譚 妖怪補遺々々 作者:黒史郎 学研プラス Amazon 読了日2019/04/24。 本書は、作家で竹書房の怪談文庫の常連でもある筆者が、様々な民俗誌や地方の民話集から、興味のアンテナに引っかかった話を丹念に拾い集めた怪談集である。 出所の多くが民話…

中山市朗『怪談狩り 市朗百物語』

怪談狩り 市朗百物語 (角川ホラー文庫) 作者:中山 市朗 KADOKAWA/角川書店 Amazon 読了日2023/05/20。 『新耳袋』以来の素っ気ない淡々とした語り口。人の霊と思われるもの、時空の歪みに関するもの、妖怪や魔に属するようなものまで様々な怪異が登場する。…

澤村伊智『ぼぎわんが、来る』

ぼぎわんが、来る 比嘉姉妹シリーズ (角川ホラー文庫) 作者:澤村伊智 KADOKAWA Amazon 読了日2023/06/09。 「訪問者」「所有者」「部外者」の3章構成で、章ごとに視点が変わる。ある人物の言動が、他者からは全く異なって見えるのが妙味。その互いに食い違…

リチャード・マシスン『地獄の家』

地獄の家 (ハヤカワ文庫 NV 148 モダンホラー・セレクション) 作者:リチャード・マシスン 早川書房 Amazon 読了日2021/11/21。 古書即売会落手本。1973年映画化。昔深夜に偶々テレビを付けたら、ちょうど一番クライマックスで、今は亡き富山敬さんの吹き替え…

シャーリイ・ジャクスン『丘の屋敷』

丘の屋敷 (創元推理文庫 F シ 5-1) 作者:シャーリイ・ジャクスン 東京創元社 Amazon 読了日2020/09/21。 香川雅信『江戸の妖怪革命』では、近代における怪異のパラダイム転換について「妖怪や幽霊は、近世においては人間の外部にあって『見えるもの』であっ…

吉田悠軌『一行怪談(二)』

一行怪談(二) (PHP文芸文庫) 作者:吉田 悠軌 PHP研究所 Amazon 読了日2019/05/31。 まさか第二作があるとは思わなかった。個人的には「手話」「マジックショー」「怪人Q」「袋小路」「食べられないもの」「逆再生」「便座」「CM」「漢字」「スマートフ…

吉田悠軌『一行怪談』

一行怪談 (PHP文芸文庫) 作者:吉田 悠軌 PHP研究所 Amazon 読了日2017/08/15。 阿刀田高のショート・ショート、漫画の『不安の種』、実話怪談の『新耳袋』、佐藤弓生『うたう百物語』、倉坂鬼一郎『怖い俳句』など、ある種の「怖さ」と話の「短さ」は極めて…

吉田悠軌『現代怪談考』

現代怪談考 作者:吉田悠軌 晶文社 Amazon 読了日2023/03/16。 六部殺し・口裂け女・コトリバコ・八尺様・コインロッカーベイビー・カシマレイコ・アクトバティックサラサラといった近現代怪談の主要なモチーフの背景に、「子殺し」への恐怖が潜むのではない…

小野不由美『残穢』

残穢(ざんえ) (新潮文庫) 作者:小野 不由美 新潮社 Amazon 読了日2023/01/03。 本文に解説のある触穢の思想は日本の古典文学でお馴染みだが、本作では触れたら感染する怪異を、「キャリア」(p.250)「ウィルス」(p.256)という表現から分かるように、感染…

小野不由美『ゴーストハント2 人形の檻』

ゴーストハント2 人形の檻 (角川文庫) 作者:小野 不由美 KADOKAWA Amazon 読了日2023/05/21。 “人形”と“幽霊屋敷”という二大テーマを複雑に融合させ、当初はポルターガイスト現象と思われた怪異が、掘り起こすに連れて思わぬ因縁を露わにする。第2巻に入り探…

小野不由美『ゴーストハント1 旧校舎怪談』

ゴーストハント1 旧校舎怪談 (角川文庫) 作者:小野 不由美 KADOKAWA Amazon 読了日2022/12/26。 解説で池澤春菜が述べているように、超常現象を扱うオカルトと論理性を重んじるミステリは意外に相性が良い。この怪異/事件の原因/犯人は?と追及していく面…