中山市朗『怪談狩り 市朗百物語』

 読了日2023/05/20。

 『新耳袋』以来の素っ気ない淡々とした語り口。人の霊と思われるもの、時空の歪みに関するもの、妖怪や魔に属するようなものまで様々な怪異が登場する。怪談DJの響洋平さんが、新耳袋の怪異は交通事故のようなもの(過去の因縁の有無に関わらず突如遭遇する)と指摘してしていたが、ほとんどは何の理由も前兆もなく出現して、それが怖い。特にただ接近遭遇するだけでなく、「二階への誘い」「メッセージ」「あんたの恰好」「踏切りの地図」など何かが悪意を持ってこちらに働きかけてくる話や、「だれだっけ?」「死因」など不条理系な話は怖い。