SF

円城塔『これはペンです』

これはペンです(新潮文庫) 作者:円城塔 新潮社 Amazon 読了日2014/08/11。 何かが書かれるためには、書く誰か(主体A)がいなければならない。逆に、書かれたものからは、書いた誰かの像(主体B)が遡及的に浮かび上がるはずである。では書いた主体Aと…

円城塔『Boy’s Surface』

Boy’s Surface 作者:円城 塔 早川書房 Amazon 読了日2020/03/31。 この作者の場合、執筆より出力といった方が似合いそうなのだが、伊藤計劃との対談で、小説を書く時は構造から考えると述べていた。人間のような内面や主体を持たない構造から自動的に出力さ…

円城塔『文字渦』

文字渦(新潮文庫) 作者:円城塔 新潮社 Amazon 読了日2022/11/12。 「昔、文字は本当に生きていたのじゃないかと思わないかい」という境部さんの言葉は、「文字の霊などというものが、一体、あるものか、どうか」という中島敦「文字禍」のリフレイン。中島…

円城塔『道化師の蝶』

道化師の蝶 (講談社文庫) 作者:円城塔 講談社 Amazon 読了日2019/12/02。 伝説の多言語作家・友幸友幸の存在と、その痕跡を辿る翻訳者「私」の思考とが綯交ぜになって、メビウスの輪を見つめているような眩暈の中に引き入れられる。「仮説と対抗仮説が入り乱…