円城塔『Boy’s Surface』

 読了日2020/03/31。

 この作者の場合、執筆より出力といった方が似合いそうなのだが、伊藤計劃との対談で、小説を書く時は構造から考えると述べていた。人間のような内面や主体を持たない構造から自動的に出力される文字列は小説と呼べるのか、という問いかけが、作者の創作方法と作品内容の双方に一貫してあるように思う。語り手が計算過程や自己複製する恋愛小説(?)だったりするのもその一つの現れかと。