吉田悠軌『一行怪談』

 読了日2017/08/15。

 阿刀田高のショート・ショート、漫画の『不安の種』、実話怪談の『新耳袋』、佐藤弓生『うたう百物語』、倉坂鬼一郎『怖い俳句』など、ある種の「怖さ」と話の「短さ」は極めて相性が良い。通常の因果関係に収まりのつかない話の断片性が、きっと私達の日常感覚に揺さぶりをかけるからだろう。歌人穂村弘の「自分以外の全員」が何かを知っている不安というモチーフの指摘が鋭い。個人的なベストは「言葉とは、我々の祖先が滅ぼした種族にかけられた太古よりの呪いだが、その最後の赤子だけは殺さなかったため…