句会(2016・1・29)

季題は「初夢」。
  初夢やノラにも吉や来るらん
  スニーカーどんどの灰を踏み均す
  うつつなく箸にかからぬ雑煮餅
  罫線や去年の塵を払いのく
  くるくると傀儡繰る糸狂いつつ
最後の「傀儡」が新年の季語だとは知らなかった。角川書店の『合本俳句歳時記』にはこうある。

【傀儡師(くわいらいし)】
新年に首に人形箱をかけて各戸を訪れ、種々の人形を舞わせて、銭を請い歩いた者。「くぐつし」などともいう。一種の漂白民の集団だったが、後に職能集団を作り、摂津国兵庫県)西宮の夷舁きなどが名高かった。江戸時代には門付け芸となり、諸国を巡り歩いた。現在ではほとんど見られない。

合本俳句歳時記 第四版

合本俳句歳時記 第四版

  こうして見ると季語としての「傀儡」は、あくまで新年の予祝行為を行う者という捉え方で、今回の句作のようなおどろおどろしいイメージは似合わなかったかもしれない。せめて門付け芸人の悲哀を詠むくらいか。