季題は「初夢」。
初夢やノラにも吉や来るらん
スニーカーどんどの灰を踏み均す
うつつなく箸にかからぬ雑煮餅
罫線や去年の塵を払いのく
くるくると傀儡繰る糸狂いつつ
最後の「傀儡」が新年の季語だとは知らなかった。角川書店の『合本俳句歳時記』にはこうある。
【傀儡師(くわいらいし)】
新年に首に人形箱をかけて各戸を訪れ、種々の人形を舞わせて、銭を請い歩いた者。「くぐつし」などともいう。一種の漂白民の集団だったが、後に職能集団を作り、摂津国(兵庫県)西宮の夷舁きなどが名高かった。江戸時代には門付け芸となり、諸国を巡り歩いた。現在ではほとんど見られない。
- 作者: 一般書,角川学芸出版
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2008/06/28
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こうして見ると季語としての「傀儡」は、あくまで新年の予祝行為を行う者という捉え方で、今回の句作のようなおどろおどろしいイメージは似合わなかったかもしれない。せめて門付け芸人の悲哀を詠むくらいか。