『太宰治全集2』

ようやく読了。「創世記」「二十世紀旗手」「HUMAN LOST」のような、実験的文体というか、切れ切れの意識の流れを書きとめたような作品から、「燈籠」「満願」「富嶽百景」「黄金風景」のような、小説としてがっちりした結構を持つ作品まで、作風の振幅の大きさに驚くばかりだ。

太宰治全集〈2〉 (ちくま文庫)

太宰治全集〈2〉 (ちくま文庫)

初出は以下の通り。
「創世記」(『新潮』昭11・10)/「HUMAN LOST」(『新潮』昭12・4)/「燈籠」(『若草』昭12・10)/「満願」(『文筆』昭13・9)/「姨捨」(『新潮』昭13・10)/「I can speak」(『若草』昭14・2)/「富嶽百景」(『文体』昭14・2)/「黄金風景」(『国民新聞』昭14・3・2、3)/「女生徒」(『文学界』昭14・4)/「懶惰の歌留多」(『文芸』昭14・4)/「葉桜と魔笛」(『若草』昭14・6)

単行本『愛と美について』所収
「秋風記」「新樹の言葉」「花燭」「愛と美について」「火の鳥

個人的には、嘘が真実になる恐怖と、女性独白体によって語られるナルシズムとの結合した「葉桜と魔笛」がすごいと思う。