この巻から「新郎」「十二月八日」などアジア太平洋戦争の時代を感じさせる作品が目立ち始める。時局にふさわしくないという理由で全文削除されたという「花火」の結末は、家庭の悲劇という点でカフカ『変身』を思い起こさせた。同じ時期に、青春小説の代表作である『正義と微笑』や、抱腹絶倒の「黄村先生」シリーズを書いているのが興味深い(殊に「不審庵」は笑った)。
- 作者: 太宰治
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1989/02/01
- メディア: 文庫
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